〜 英語初心者から指導者・研究者にも活用可能 〜
英文構造図とは何か

英語の学習は具体的な文との格闘です。入門書や文法書の例文はもちろん、リスニングやリーディングで出会うものも結局は「文」ですし、自分で発信するのもやはり「文」です。そして、文を学ぶには、その中で使われている語句はもちろんのこと、文の構造もまた大切です。

しかし、実際には今ひとつ自信が持てない方も少なくないでしょうし、自信がある場合でも中学生・高校生などに説明するときに困難を感じるという方もあるでしょう。それは分かりやすい図式化の方法をご存じないからかもしれません。

さて、英語学習者でもある私は、英文の構造を図式化する方法について何年にもわたって考え続けていました。そして2008年の春に発見したのが、手書きによる英文構造図でした。それは英語の学習と実践のあらゆる場面で役に立つと言ってもよいものでしたが、今回ご紹介するものは、それが更に進化したものです。

簡単な例をご紹介しましょう。まずは
“I wonder why the food the person next to you is eating always looks so good.”
 (岩村・スマイリー『英会話データベース 必須1200』(ジャパンタイムズ)pp.52, 57)
です。意味は「隣の人が食べているものはいつもよさそうに見えるのはどうしてかしら」ですが、これを私の構造図で表現すると、

I
wonder
why
the food
φ
the person
next to you
is eating
t
always looks
so good.

となります。見方を説明しましょう。

@まず図の左端を上から下に向かってタテに見てください。“I wonder why”とあります。これがこの英文の骨組みともいうべき部分です。
A次に“why”の右側をタテに見ると、そこには“the food always looks so good”とあります。この部分は“why”(疑問)の中身の骨組みです。
B更に“the food”の右側をやはりタテに見ると、“the person is eating”という説明があり、“the person”には“next to you”という説明がぶら下がっています。

つまり、同じ階層にある要素はタテに並べ、その内部構造を表すものは右側にずらしてタテに並べてある(以下同様に繰り返す)わけです。このように配置することで、複数階層に及ぶ構造が非常に見やすく表示されているのがお分かりいただけると思います。実際、このような配置を使わずに構造を説明しようとしても、なかなかうまくいきません。

この構造図にはもう一つ大きな特長があります。それは、左上から右下に読めばそのまま原文を再現することができるようになっている、ということです(上の図で実際にお試しください)。この特長は、音読するときだけでなく、「読む」「書く」「聴く」「話す」いずれの実践においてもとても便利なものです。

次に少し複雑な例文を取り上げましょう。今度は
“Human beings show their superiority to the brutes by their capacity for boredom, though I have sometimes thought, in examining the apes at the Zoo, that they, perhaps, have the rudiments of this tiresome emotion.”
 (佐々木『英文解釈考』(金子書房)p.5)
です。見るからに難しそうな文ですが、これを構造図で表現すると、

Human beings
show
their superiority
to the brutes
by
their capacity
for boredom,
though
I
have sometimes thought,
in
Δ
examining
the apes
at the Zoo,
that
they,
perhaps,
have
the rudiments
of this tiresome emotion.

のようになります。これも上と同じ要領で読めるはずです(実際にお試しください)。

最後にご紹介するのはかなり複雑なものです。それは
“The progress was so spectacular, indeed, that by about the middle of the twentieth century all the simple questions had been answered. Concepts such as the general theory of relativity and quantum mechanics explained the overall workings of the Universe on the very large and very small scales respectively, while the discovery of the structure of DNA and the way in which it is copied from generation to generation made life itself, and evolution seem simple at the molecular level.”
 (富士『英文読解のグラマティカ』(論創社)p.7)
です(2つの文からなっています)。これを構造図にすると

The progress
was
so spectacular,
indeed,
that
byabout the middle of the twentieth century
all the simple questions
had been answered.
 
Concepts
such as
the general theory of relativity
and
quantum mechanics
explained
the overall workings
of the Universe
on the very large and very small scales respectively,
while
the discovery
of
the structure
of DNA
and
the way
in which
it(=DNA)
is copied
from generation to generation
t
made
life itself, and evolution
seem
simple
at the molecular level.

となります。これもまた、上と同様の手順で理解できるでしょう。

英文の構造を図式化する方法はこれまでにもありました。まず、言語学で使われるものがそうですが、これらは厳密さという点では優れていても、あまり読みやすいものではありませんでした。一方、受験生向けに使われているものの中にはかなり読みやすいものもありますが、論理的一貫性が不足しているものも見受けられます。

本サイトでご紹介する新しい構造図は、構造の明解さ原文の語順の双方を維持しつつ、さらに多段階の入れ子構造などにまで的確に対応できる方法となっています。「世界初」を標榜する所以です。

実際に体験されたい方は、本サイトにある英文構造図作成ツールなどをお試しください。あまりの簡単さ・分かりやすさに驚かれるはずです。また、詳しく体系的に学ばれたい方は、『英文構造図』第3版をお読みください。計336ページのオリジナル教材です。

優れた結果を出すためには相応の努力が必要であるというのは当然のことですが、どうせ学ぶなら、少しでも楽しくスムーズに学びたいのが人情というものでしょう。私が提案する方法で構造図を作るのは非常に楽しいものですし、理解できたという実感はますますモチベーションを高めてくれるはずです。この構造図を学ぶだけでも学習の強力な助っ人になってくれるのは間違いありません。

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