衆議院議員 きいたかし(城井崇)氏によって提出された「英語民間試験」に関する3つの質問主意書('18/07/17)に対し、内閣から「答弁書」('18/07/27)が返された。このやりとりは非常に貴重なものであるにもかかわらず原文のままでは質問と答弁との対応関係などが読みとりにくいと思われたので、管理人の手で対照表のかたちに整理してみた(質問主意書転載につき城井議員の許可取得済み)。

なお、読みやすさ向上のため、内容に影響しないと思われる範囲で形式上の改変(@数字の表記方法、A答弁書本文への西暦の付記、B文ごとの改行 など)を加えている。また、赤字による強調は管理人の独断と偏見に基づくものである。原典については、下記の表で「出典」と書かれたリンクから辿られたい。


新しい大学入学共通テストへの英語民間試験の導入 出典
質問主意書 答弁書
@
政府は、2024年度実施の入試から、英語については新テストを廃止して民間試験のみとすることを検討しているのか
仮に、検討しているとすれば、民間試験導入の検証をせずに、新テスト廃止を検討する理由について、政府の認識を明らかにされたい。
また、英語の新テスト廃止については、国立大学協会は慎重な検討を求めているが、政府の認識を明らかにされたい。
@について
御指摘の「新テスト」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、平成29(2017)年7月に文部科学省において策定された「大学入学共通テスト実施方針」において、平成32(2020)年度から実施される大学入学共通テスト(以下「大学入学共通テスト」という。)の英語試験については、制度の大幅な変更による受検者、高等学校及び大学への影響を考慮し、民間試験(大学入学共通テストの枠組みにおいて活用される民間の英語の資格・検定試験をいう。以下同じ。)の実施・活用状況等を検証しつつ、平成35(2023)年度までは引き続き実施することとしているところであり、その後の取扱いについては、現時点でお答えすることは困難である。
A
英語民間試験の実施会場は、何社の民間事業者の参入が見込まれるのか。
どのように確保するのか。
試験監督に選定される要件(資格等)は何か。
試験監督は、何名確保する必要があるか。
試験監督は、どこから採用するのか。
センター試験や個別試験並みのセキュリティをどのように確保するのか。
政府の認識を明らかにされたい。

B
文部科学省は実施会場を増やす必要があるとの見解を示しているが、実施会場を増やす場合、どれくらい経費が必要となるか。
実施会場を増やす費用は、新テストの受験料にどのように反映されるか。
政府の認識を明らかにされたい。
A及びBについて
御指摘の「新テスト」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、民間試験については、試験内容・実施体制等が入学者選抜に活用する上で必要な水準及び要件(以下「参加要件」という。)を満たしていることを独立行政法人大学入試センター(以下「センター」という。)が確認したものを活用することとしており、参加要件としては、会場ごとの実施責任者及び各室ごとの試験監督責任者が受検生の所属高等学校等の教職員でないこと、不正、情報流出等の防止策及び不測の事態発生時の対処方策を公表していること等が定められているところである。
その上で、お尋ねの「試験監督」の人数や「実施会場を増やす費用」等の詳細については、当該民間試験を実施する民間事業者等において検討されるべきものと考えている
また、参加要件を満たしていることをセンターが確認した民間試験を実施する民間事業者等の数は、現時点で7である
C
文部科学省の作成資料「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」は、7つの実施主体が運営する8種類の試験(ケンブリッジ英語検定、実用英語技能検定、GTEC、IELTS、TEAP、TEAP CBT、TOEFL iBT、TOEIC L&R / TOEIC S&W)、同じ試験でもレベルの違うものを含めると23種類の試験について、CEFR(外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠)と比較している資料である。
各大学は、2020年度に実施する2021年度入試から、この表に基づいて異なる試験を受けた生徒たちの成績を比べて同一の大学の入学者を選ぶことになる。
文部科学省は、受けた試験によって不公平が生じないように、各試験のスコアについて厳密に対応付けるために、各実施団体が申告した対応付けの正当性を検証したのか
仮に検証した場合には、具体的にどのような方法で検証したのか。政府の認識を明らかにされたい。

D
林文部科学大臣は、2018年6月6日の衆議院文部科学委員会において、「各資格検定試験の実施団体におきまして、欧州評議会の定めるルールにのっとりまして、試験のスコアとCEFRとの対応関係について専門家による検証を実施するということ、それに加えまして、その検証体制、検証方法等についてホームページにおいて公表する、さらに、その上で、文部科学省に専門家も参加した作業部会を設けて、これら全体のプロセスが適切であるということについて専門的見地から確認をし、公表したところでございます」と答弁している。
大臣の答弁にある作業部会は、どのような人物により構成されていたのか。
その人物が審査される民間試験の開発やCEFRとの対応付けに携わった人物であるか否か、民間試験の実施団体と関係のある人物であるか否かも含めて、政府の認識を明らかにされたい。

E
また、作業部会が民間試験の開発やCEFRとの対応付けに携わった人物や民間試験の実施団体と関係のある人物により構成されていた場合、対応付けの正当性を公正に確認したと考えることができるか、政府の認識を明らかにされたい。

F
これまで「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」は複数にわたり公表されており、公表のたびに内容が変わっているため、各大学の合否判定に大きな影響を与えることが考えられる。
例えば、同じ能力の人物が、異なる回のテストを受けても、偶発的な誤差を除いて同じスコアが出るように統計処理された、標準化したテストであるはずなのに、なぜ公表のたびに内容が変わるのか。
テストの標準化、あるいは、CEFRとの対応づけが不完全ということではないのか。
このようなテストや対応づけを大学入試に使ってよいのか、政府の認識を明らかにされたい。
CからFまでについて
文部科学省が平成30(2018)年3月に公表した「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」(以下「対照表」という。)の作成に当たっては、同省が開催する「英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会」の「英語の資格・検定試験とCEFRとの対応関係に関する作業部会」(以下「作業部会」という。)において、御指摘の「CEFR」(以下単に「CEFR」という。)の作成主体である欧州評議会の定めるルールも踏まえ、各資格・検定試験とCEFRとの対応関係と、その根拠となる検証方法や研究成果等の確認等を行った。
作業部会は、外国語教育及び言語学を専門とする大学教授や各試験・検定試験を実施する民間事業者等の役職員により構成されているところであり、各試験・検定試験とCEFRの対応関係について適切に確認したものと考えている
また、同省が対照表より以前に公表した「各試験団体のデータによるCEFRとの対照表」については、各資格・検定試験を実施する民間事業者等の公表資料に基づき同省において作成したものであったが、対照表については、先に述べたとおり、作業部会において、各資格・検定試験とCEFRの対応関係について適切に確認した上で公表したものである
なお、民間試験の成績の活用方法は、各大学において決定すべきものであり、必ずしも対照表に基づくことを要しない
G
各民間試験、特に、国内で開発された試験とCEFRとの対応づけ、及び対応づけの変更については、その正当性を裏づける十分なデータが公開されていないとの指摘もあるが、今後、必要なデータを全部提出させて、専門的に研究する第三者に審査してもらう必要があると考えるが、政府の認識を明らかにされたい。
Gについて
お尋ねについては、民間試験に係る参加要件として、CEFRとの対応関係並びにその根拠となる検証方法及び研究成果等が公表されており、実施主体においてその対応関係を検証していく体制が整っていることが定められており、御指摘のような必要があるとは考えていない
H
2017年度版対照表から2018年度版対照表への変更は、「大学入試英語成績提供システム」に参加する民間試験の審査期間に行われたのではないかという指摘がある。
この部分だけでも、必要なデータを各民間試験の実施団体から提供してもらい、民間試験と利害関係のない専門の研究者である第三者に検証してもらう必要があると考えるが、政府の認識を明らかにされたい。
Hについて
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、対照表については、CからFで述べたとおり、作業部会において、CEFRの作成主体である欧州評議会の定めるルールも踏まえ、各資格・検定試験とCEFRとの対応関係と、その根拠となる検証方法や研究成果等の確認等を行った上で、適切に作成されたものであると考えている
I
大学入試英語成績提供システムの参加要件は、公表ベースになっているが、文部科学省は、各試験実施団体が公表している内容の信憑性を検証したのか
公表している内容を検証しないのならば、参加要件は意味をなさないのではないか。
政府の認識を明らかにされたい。

J
成績提供システムの参加取り消しについて、受験生や大学を巻き込む問題や不正が発覚してからしか、参加取り消しを検討できないのではないか。
問題や不正が発覚する前に参加を取り消すべきだが、その準備はできているのか。
政府の認識を明らかにされたい。

K
成績提供システムの「参加取り消し」は、大学入試英語成績提供システム参加要件が緩い条件であるため、参加取り消しが難しいのではないか。
政府の認識を明らかにされたい。
IからKについて
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、各民間試験については、これを実施する民間事業者等が公表し又はする予定である事項を含めて必要な内容を申請書に記載させ文部科学省において当該民間試験と学習指導要領との整合性及び対照表との対応関係等の確認を、センターにおいてその他の申請書の内容が参加要件を満たしていることを、それぞれ確認しているところである。
また、お尋ねの「参加取り消し」については、センターが定める「大学入試英語成績提供システム参加要件」において、「本参加要件及び別に定める協定書等で約する内容が満たされなくなった場合には、改善案を速やかに理事長に提出するとともに、これに係る状況を公表すること。理事長は、改善状況の確認を行い、改善されない場合は必要に応じ当該試験についてシステムへの参加を取り消すものとする。」とされており、これに従って必要な措置が講じられることとなる。
新しい大学入学共通テストへの英語民間試験の記述式問題の導入 出典
質問主意書 答弁書
@
記述式の採点は、複数の採点者による一致度、自己採点との一致度など、信頼性を確保するため、質の高い採点者を数多く雇用する必要があると考える。
約五十万人の受験者の答案を合否判定に必要な期間で採点するために、採点者は何名確保する必要があるか。
採点者に選定される要件(資格等)は何か。
採点者はどこから採用するのか。
採点のための費用はどの程度になると見込まれるか。
採点のための費用は、新テストの受験料にどのように反映されるか。
政府の認識を明らかにされたい。

A
採点の信頼性を重視して工夫された条件付き記述式問題と比較した場合、採点の自由度が高い英語ライティング、英語スピーキングについて、何社の民間事業者の参入が見込まれるのか。
採点者は何名確保する必要があるか。
採点者に選定される要件(国籍、資格等)は何か。
採点の信頼性をどのようにして確保するか。
政府の認識を明らかにされたい。
@及びAについて
御指摘の「記述式」及び「新テスト」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、民間試験(平成32(2020)年度から実施される大学入学共通テストの枠組みにおいて活用される民間の英語の資格・検定試験をいう。以下同じ。)については、試験内容・実施体制等が入学者選抜に活用する上で必要な水準及び要件(以下「参加要件」という。)を満たしていることを独立行政法人大学入試センター(以下「センター」という。)が確認したものを活用することとしており、参加要件としては、日本国内において広く高校生に受検され又は大学入学者選抜に活用された実績があること、試験監督及び採点の公平性・公正性を確保するための方策を公表していること、採点の質を確保するための方策を公表していること等が定められているところである。
その上で、お尋ねの「採点者」の人数や要件、「採点のための費用」、「採点の信頼性」を確保する方策等の詳細については、当該民間試験を実施する民間事業者等において検討されるべきものと考えている
また、参加要件を満たしていることをセンターが確認した民間試験を実施する民間事業者等の数は、現時点で7である。
新しい大学入学共通テストへの英語民間試験導入に関する公正性、公平性の担保 出典
質問主意書 答弁書
@
センター試験や個別試験は、高度の公正性・公平性が求められてきた。
例えば、センター試験は、大学入試センターが発行する実施要領に基づき、全国の全会場でまったく同じことがまったく同じペースで進められ、遅刻やトイレ中断への対応はもちろん嘔吐や鼻血の対応まで前もって決められている。
出題・採点ミスがあった場合は、追加入学や補償金等で対応してきた。
先般、文部科学省は個別試験の問題の解答公表を原則とすることを決定したところでもある。
各民間試験にも同様の公正さ公平さを求めるのか。
政府の認識を明らかにされたい。

A
同じ共通テストの枠内で実施しながら、各民間試験についてだけ、他の試験と同様の公正性・公平性を求めないということはあり得るのか。
公正性・公平性のギャップを国民にどう説明し、理解を得るのか。
受験生や保護者、教員が納得すると思うのか。
政府の認識を明らかにされたい。
@及びAについて
お尋ねの「同様の公正さ公平さ」等の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、民間試験(平成32(2020)年度から実施される大学入学共通テストの枠組みにおいて活用される民間の英語の資格・検定試験をいう。以下同じ。)については、試験内容・実施体制等が入学者選抜に活用する上で、必要な水準及び要件(以下「参加要件」という。)を満たしていることを独立行政法人大学入試センター(以下「センター」という。)が確認したものを活用することとしており、参加要件としては、日本国内において広く高校生に受検され又は大学入学者選抜に活用された実績があること、試験監督及び採点の公平性・公正性を確保するための方策を公表していること等が定められているところである。
B
障害等のある受験生への対応として、全盲の受験者のための点字冊子の提供、弱視の受験者のための拡大文字冊子の提供、重高度難聴の受験者のためのリスニング・スピーキングの免除、中・軽度難聴の受験者のためのヘッドフォンの貸与、座位を保つことが困難な受験者や両上肢の機能障害を持つ受験者のための解答方法の配慮や試験会場・部屋の配慮などが想定されるが、全国の受験会場で確実に行われることを文部科学省としてどのように担保するのか
政府の認識を明らかにされたい。
Bについて
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、民間試験については、障害等のある受検生への合理的配慮をしていることを公表していること等の参加要件を満たしていることセンターが確認したものを活用することとしており、各受検生はそれぞれの障害の状態等に応じて受検する民間試験を決定することができる者と考える
C
毎年度、全都道府県で複数回実施されることになっている23種類の試験について、実施団体の公表情報どおりに行われていることを確認するのはそもそも現実的でないのではないか。
結局は、実施団体に丸投げするしかないのではないか。
その結果、犠牲になるのは、受験生とこの国の入試制度であると考えるが、政府の認識を明らかにされたい。
Cについて
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、センターにおいては、民間試験の実施状況について、各民間事業者等に対し、毎年度、センターへの報告を求めることを予定していると承知している。
また、センターが定める「大学入試英語成績提供システム参加要件」においては、「本参加要件及び別に定める協定書等で約する内容が満たされなくなった場合には、改善案を速やかに理事長に提出するとともに、これに係る状況を公表すること。理事長は、改善状況の確認を行い、改善されない場合は必要に応じ当該試験についてシステムへの参加を取り消すものとする。」とされているところである。
D
共通テストとしての民間試験の利用は1年半後に始まる予定となっている。
すべての受験生が、受験したい試験を滞りなく、少なくとも2回受けられる見通しは立っているか。
例えば、どの試験を何人くらいの生徒がどこでいつ受験するというような想定に基づいて、制度の実現可能性は確認されているのか。
政府の認識を明らかにされたい。

E
文部科学省は、各高等学校にニーズ調査を実施しているとのことであるが、新制度が実現可能であるか否かについて、どのように確認し判断するのか。
政府の認識を明らかにされたい。
D及びEについて
現在、文部科学省において、各高等学校に対して「「大学入試英語成績提供システム」参加試験ニーズ調査」を依頼しているところであり、同調査の結果を踏まえて、受検生が必要な受検機会を得られるよう、民間試験を実施する民間事業者等に対して、受検需要に応じた実施会場の確保等を促すこととしている。

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